2019年に開催された田んぼ環境自作人研修会の様子です。 今年は研修生16名とそのお子さんたちでとても賑やかな研修となっています。お陰で年齢層も幼児から熟年まで、田んぼの生き物と同様に多様性に満ち溢れています。
私は小さい頃から動物が好きでした。いつも動物の本や図鑑を眺めて過ごしていた記憶があります。うちは父の仕事の関係で引っ越しが多く、弟も喘息だったので動物を飼ったことはありませんでしたが、自然の多い場所に住んでいたのでたくさんの生き物に囲まれて過ごしていました。 また父がアウトドアが好きだったので、庭で焚火をしたり、山やキャンプによく連れて行かれたり、キノコや山菜採りに同行したりと自然の中で過ごすことの楽しさなどを教えられました。今も山や自然、生き物が好きなのは、そういう体験があったからだと思います。
小学生の頃はペットショップで働きたいとか調教師になりたいと思っていました。小学6年の時に友達に獣医という職業があることを教えてもらい、私も獣医になりたいと思うようになりました。将来はアフリカでゾウやキリンを眺めながら暮らしたいなと思っていました。
中学3年か高校1年くらいの時に、それまで自分の身近な世界にしかなかった関心が、社会という外側の世界に向くようになりました。するとそこにはごみ問題、砂漠化、温暖化、食糧問題、貧困問題、森林破壊や資源の問題など問題がたくさんありました。 こういう問題を真剣に考えようとすると絶望的になってしまいがちですが、私たちはそういうものと向き合わなければいけない時代に生きているのかもしれません。
動物が好きなことと環境問題に関心があったこと、このふたつのことがいつも私の動機となり、今までやってきたいろいろなことも元をたどるとそこに帰着しているような気がします。生き物と自然、そして人間。生きるとは何なのか。生きることに何の意味があるのか。生命とは何なのか。そんなことをぼんやりと考えていました。
いつか山の中で自給自足の生活をしたいと漠然と思ってはいました。でも現実的ではないし、今すぐにできるものでもないと思ってもいました。それが東日本大震災をきっかけに変わったように思います。 今まで当たり前と思われていたものが当たり前ではなかったということ。それは衝撃であり混乱でもありましたが、何を信じればいいのかということをひとつひとつ確認していくきっかけともなりました。
2年ほど前に農業をしようと思い、稲城の農場で働き始めました。そこでは慣行栽培が行われていました。その後、能登のお米農家さん、小豆島のオリーブ農園、北海道仁木町のトマト農家さん、そして木村秋則さんの自然栽培農学校に行き、農業や農家さん、地方のことを直に知ることができました。
そして今年は田んぼ研修を受講し仲野さんのもとで自然農法のお米作りを学ぶことができました。しかも自分のできる範囲で自給するという考え方は、これからの私たちの新しい生き方になっていくのだろうと思います。 何でもかんでも全部自分でやろうとすると疲れてしまって楽しさがなくなってしまいますが、楽しくできる範囲で自給をしたり、または自分にできることをしながらつながり、広がっていけば、今よりもっと豊かで落ち着いた社会になるのではないかと思います。私たちは時代の最先端の生き方をしているのではないでしょうか。
野原の中に野菜が転がっているような自然農の畑を長野で見た時、とても気持ちがいいなと思いました。そこは私の知っている畑とはずいぶん違いました。そしてそこで働く人たちもなんかのんびりしていて、そしてしっかりと軸のある不思議な雰囲気がありました。 それが何なのかその時はよくわかりませんでしたが、今は少しわかるような気がします。それはきっと心の余裕というか、豊かさなのだろうと思います。そしてそれが生きる強さなのだと思います。
4月から私の生活は大きく変わりました。なぜなら、週末になると片道1時間半かけてお米作りを学びに相模原まで通うようになったからです。まさか私がお米を作りを学ぶなんて数年前の自分が想像したでしょうか?自分もびっくり!な出来事なんです。
子どもの頃から米好きでしたが出産してからさらに米好きになり、色々な銘柄のお米を食べて食事を楽しんでいました。炊き立てはもちろんのこと、冷めても、にぎっても、炒めても、煮てもおいしいお米ってすごい!! もうお米への愛があふれて止まらなくなって、というのは大袈裟ですが、自然と「お米作ってみたいなぁ」なんて思いはじめました。 そして、ご縁あってNPO法人「畑と田んぼ環境」再生会へ入会するはこびとなったのです。研修生はみんな初対面ですが話しがとても良く合います。好きなことや興味のあることが近いとこんなにも会話が楽に進むのだなぁと実感しました。
さて、お米作りを一から教えてもらうことになったのですが、お米を食べることには人一倍関心があるものの、お米作りは超初心者の私。でも知らないということが逆に強みになったのでしょうか、教えてもらうこと一つ一つが新鮮でした。 また、仲野さんの穏やかで優しい口調や、時にユーモアも交えた指導が心地よくて飽きるということがありませんでしたし、研修仲間とおしゃべりしながらの作業は農作業を楽しくさせてくれます。 でも、トロトロ層を作るのに土を耕す作業はしんどかったなぁ。最後はみんな無言で耕していたっけ?憧れの田植えも経験しました!が、これもなかなかしんどいのです。ずっと中腰なので腰が疲れます。 しかも一つ一つ手植えなのでなかなか前に進みません。結構進んだかな?と後ろを振り返ると、思ったより全然進んでいないのにがっかりしたり。「きっとそれなりに大変なんだろう」と思ってはいましたが、すべてを手作業でやることの大変さを身をもって経験しました。 でも田んぼへ行くたびに成長している稲を見ると、我が子の成長を見るようで嬉しくてますます田んぼへ行くのが楽しみになりました。秋になり、首を垂れる稲を見ていたら、「本当によく成長したね。どうもありがとう」と感謝の気持ちが湧いてきました。
そしてお米作りの花形、いよいよ稲刈りです!「ザクザクッ」と気持ちの良い切れ具合が気持ちよくて癖になり、サクサクと作業が進みます。「これこれ!このザクザク切れる感じが好きー!」と稲刈り大好きになりました。 「終わりよければすべてよし」は、稲刈りにぴったりな言葉だと思います。もちろん自分たちで作ったお米を食べてもこの言葉はあてはまりました。
お米作りを最初から最後の収穫まで学んで感じたことは、あんなに小さな一粒が、秋にはこんなにたくさんの稲をつけて育ったことに、「生き物ってこんな風に種を繋いで子孫を残すようにDNAに組み込まれているんだ」と当たり前のことかもしれないけれど体で感じました。 と同時に「大事な命と引き換えに私の命は存在している」と思うと、自然と「ありがとう」の感謝の気持ちが溢れてきます。NPO法人「畑と田んぼ環境」再生会では、本当に大事なことを体と心で感じることができました。
来年4月からは、独り立ちして自分の田んぼをやります。喜び、楽しみ、いろいろなことを経験して、田んぼ仲間とワイワイやりながら農的生活を慈しみたいと思います。
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